板東収容所のバーチャル・ツアー
17. 植物園
植物園に関しては残念ながらスケッチや写真がひとつも残っていない。しかしながら『ディ・バラッケ』の第1号に掲載された3頁にわたる紹介記事から、この施設の概要を知ることができる(1)。それによると、植物園は1917年の5月に設立された。開設に関与したのは少尉、兵曹、軍曹各一人であるが、その名前は挙げられていない。上の池から流れ出ていた小川は工事によってその流路を変えられた。「[植物園の]一番外の北東の角で、小川は灌木と羊歯の茂みで覆われた、狭く暗い峡谷へと立てて流れ込む。実に入念に、そしてきわめて正確に計算され尽くした上に作られたいくつかの段滝を越えて、小川は庭園に向かってさっと流れ下り、そこですぐに枝分かれする。」(2)。施設内には水生植物用の小池がふたつに、芝生の植わった小さい丘がひとつある。いくつかの橋や小道、そしてひとつの堤防が作られていた。さらに「この(植物園を作った)3人は、収容所中とその周辺の使い物になる石をすべて集めてきて、美しい石組みを作り上げ」(3)、植物の学名とドイツ語の名称、そして日本語訳が記された「40枚から50枚の木札が」(4)あちこちに立てられていた。希望者はガイド付きで植物園内を見学することもできた。
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