Ausstellung für Bildkunst und Handfertigkeit in Zitaten

俘虜製作品展覧会

 
 
 

徳島県板野郡板東町の板東俘虜収容所では、いよいよ今八日からその製作所展覧会を同町内の板野郡公会堂にて開催する事となった。同町はもとより阿波軌道会社では大いにこれを歓迎し汽車賃を二割引として観覧客を迎える事にしている。
 会場の公会堂は壁といわず柱といわず内部すべてを白ペンキで塗り立て、それに壁譁を描くやら又は青葉で飾った柱を立て花環を飾るやら、平素の素朴な公会堂は全く改築せられ面目を一新しているそれに陳列せられたものは造船模型十三点、金物材料三十一点、指物九十六点、楽器十四点、編物十点、芝居道具二十点、標本十六点、その他五六十点で、セロ、チツター、マンドリンなどの楽器はすこぶる巧妙にできている。
 全出品を通じて最も独逸気分を示しているのはその経済を重んじた点で一から十まですべて経済という事を閑却したものは一点もない。さればその廃物利用の巧なことは驚くべきものがあって巻煙草のバツトを包んだ錫箔で文鎮を造ったという、ビール瓶の蓋を利用する等のすこぶる面白いものがある。
 陳列品はすべて販売するので購入希望者は販売係に申し込めばいい。ただし現品と代金との引替は三月十八日午前十時から午後二時までの間においてするので運賃荷造費は購買者の負担たる事は申すまでもない。もっとも品によっては即売して直に現金と引替に渡すものもある。
 参考館は同町第一番の四国霊場たる霊山寺を会場にあて、ここには日本品及び四国、九州商人、板東町商人等の出品を陳列してある(徳島発)

 

 

『朝日新聞 徳島・高知・香川・愛媛(地方集刷)』大正7年3月8日からの抜粋です。原文の旧かな旧漢字や句読点を改めて表記しています。
この記事の独訳は、当時『日刊電報通信(T.T.B.)』に掲載されました(おそらく T.T.B. 第3巻1918年3月13日の記事だと思われます。しかし製本の際に誤ってT.T.B. 第2巻1917年10月30日の後に収録されています)。