美術工芸展覧会

「美術」部門

 
 

展覧会は、その名が示す通り「美術」と「工芸」の二大部門に分かれていた。二つの部門は、作品の製作方法にしたがってさらに細かく分類がなされた。こうして分けられたそれぞれのグループの中で、審査員たちによる判定が行われ、賞や称賛のコメントが与えられた。「「絵画芸術」部門では、27人の戦争俘虜が全部で220点の作品(内44点は無審査)を出品した。」(1)その中には、油絵、水彩画、そしてモノクロームのデッサン、色鉛筆やチョークを用いたデッサン、ポスター、戯画などがあった。

 
 

残念ながら写真では絵画をよく識別することができない。しかし、絵画のなかでも、「たいていはブラウスを身に着けているきれいな婦人像の特別展示」(2)は「何人かの収容所の住人に眠れない幾夜かを過ごさせたようである」(3)。展覧会にも参加した俘虜たち、ズーア、ブロムベルク、ジームゼン、レーチュたちによって描かれた何点かの絵は、収容所で刊行された『14の石版画14 Steinzeichnungen』(4)に収録されている。これらのスケッチは、もともと年鑑のために描かれたものだが、その年鑑は収容所の解散のために完成はされなかった。収容者たちの画才を印象づけるスケッチである。

 
 
 
 
 

(1) 『ディ・バラッケ』第1巻第25号1918年3月17日p.329
(2) 『ディ・バラッケ』第1巻第25号1918年3月17日p.327
(3) 『ディ・バラッケ』第1巻第25号1918年3月17日p.332
(4) 14 Steinzeichnungen. Kriegsgefangenenlager Bando, Japan, 1919, DIJ図書室所蔵番号B 11